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北越急行株式会社
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北越急行 安全報告書(2018)
利用者の皆さまへ

いつも「ほくほく線」をご利用いただき誠にありがとうございます。また、平素は弊社の事業運営に関しまして、ご理解とご支援をいただき深く感謝申し上げます。


弊社では、開業以来「常に『安全』最優先」を安全基本計画の最優先課題として目標に掲げ取り組んできました。その結果、鉄道運転事故の発生もなく順調な輸送を提供することができました。


2017年、ほくほく線は満20歳の誕生日を迎えました。開業から今日まで『安全』に対する姿勢は揺らぐことなく、お客さま・社員ともに笑顔になれる鉄道『ほくほくスマイルレール』を目指し、便利で快適な輸送を提供するために、これからも安全・安定・安心輸送に取り組んで参ります。


輸送概況について、2018年1~2月の大雪に伴う輸送障害では、当社においても途中駅にて雪を抱えて一時列車が動けなくなる事象等により、列車に運休や遅れが発生し、お客さまに大変ご迷惑をおかけいたしましたが、その他については1年を通して概ね良好でした。

ご利用者数としましては121.3万人(昨年比101%)と、多くのお客さまよりご利用いただきました。これにより年間ご利用者数は9年連続の100万人(※)を達成することが出来ました。(※普通列車のみのご利用者数)


2015年3月に特急列車が廃止となった以降、弊社は厳しい経営環境におかれることとなりましたが、その状況を少しでも改善できるよう、様々な施策を展開しております。

それらの事業展開の一つとして、国内第三セクター鉄道初となる、佐川急便(株)との貨客混載輸送が、2017年4月よりスタートし、1年以上経過した現在も概ね順調に実施しております。

一方、イベント関係も積極的に開催しており、特にお客さまからご好評を戴いている『超低速スノータートル』につきましては、鉄道ファンのお客さまやほくほく線沿線の自然を愛するお客さまより、多数ご参加いただいており、おかげさまをもちまして、2018年2月の開催において第8弾を数えることとなりました。

また2017年は開業20周年を記念する年として、様々な形で20周年記念事業イベントが開催されました。特に10月、六日町車両基地構内で開催いたしました『ほくほく20周年感謝祭』には、荒天にもかかわらず多くのお客さまよりご来場いただきました。


私たちは、これからも鉄道事業者として各種法令等を遵守するとともに、輸送の安全確保をより強化するために社内における安全推進会議等を有効活用し、細部にわたる車両・設備の保守点検及び社員教育の充実に取り組むことで、引き続き安全で安心してご利用いただける鉄道を目指して参ります。

併せて、沿線地域の皆さまと共に歩む鉄道会社として、便利なダイヤづくりや快適な車両・設備の提供に努め、沿線の皆さまはもちろん、ご利用のお客さまに喜んでいただけるよう、今後も引き続き各種イベント等も企画して参ります。


この報告書は、2017年度に当社が取り組んできた事故防止や社内安全体制について、広くご理解いただくために公表するものです。皆さまからの声を、輸送の安全や業務の改善に役立てたく、積極的なご意見を頂戴いただければ幸いです。

北越急行株式会社
代表取締役社長 渡邉 正幸
当社の安全体制

当社は開業当初から「安全・安定輸送の確保」を経営の最優先課題に据え、「安全な輸送こそが最大の使命」との強い決意のもと、取り組んできました。

これまで内部監査体制の確立、異常気象に起因する輸送障害の軽減、大事故を想定したリスク管理体制の構築、ヒヤリハットを共有するためのシステムの活用等、様々な取り組みを実施することで安全管理体制の強化を図ってきました。

その結果、開業以来今日まで列車脱線や列車衝突等、鉄道運転事故の発生はなく、併せてお客さまや社員および協力会社社員の死傷事故についても、発生はありませんでした。

なお、当社の安全管理体制については、次の表に示すとおりです。


【安全管理体制組織図】
安全管理体制組織図
安全統括管理者輸送の安全の確保に関する業務を統括する
運転管理者安全統括管理者の指揮の下、運転に関する事項を統括する
施設管理者安全統括管理者の指揮の下、鉄道施設に関する事項を統括する
車両管理者安全統括管理者の指揮の下、車両に関する事項を統括する
財務・要員管理者設備投資、財務及び要員に関する事項を統括する
乗務員指導管理者運転管理者の指揮の下、運転士の資質の保持に関する事項を管理する
安全を確保する取組み
(1)基本方針と安全目標
当社は、以下に掲げる指針を安全の基本方針として定め、社長以下全社員が始業時にこれらを唱和しています。
(1) 私たちは、基本動作を励行し、安全・安定輸送の確保を図ります。
(2) 私たちは、真心をこめたサービスに徹し、お客さまに信頼される鉄道をめざします。
(3) 私たちは、常に業務の刷新に努め、活気ある明るい職場をつくります。
この基本方針を達成するため、2017年度の安全計画では「常に『安全』最優先(お客さまと社員、協力会社社員の死傷事故:ゼロ)」という具体的な目標を掲げて、安全で安定した輸送サービスの提供に努めてきました。
また、2007年に制定した「社員行動規範」に則り、法令遵守と安全確保という大きな目標に向って全社員で実践してきました。
【安全綱領】
(1) 安全の確保は、輸送の生命である。
(2) 規程の遵守は、安全の基礎である。
(3) 執務の厳正は、安全の要件である。
【社員行動規範】
(1) 法令等の遵守と企業倫理に則った適切な行動
(2) お客さまに信頼される鉄道
(3) 社会への適切な情報提供
(4) 地域社会への貢献
(5) 個人情報等の厳正な管理
(6) 公正公平(適正)な取引
(7) 反社会的勢力に対する毅然とした姿勢・絶縁
(8) 会社財産の厳正な管理
(9) 働きやすい職場づくり

(2)輸送の安全確保のための具体的な取り組み
① 安全確保のしくみ
当社では安全統括管理者を議長とし、経営トップから各現場の長までを委員とした安全推進会議を社内に設置しており、安全計画で策定した実行目標の達成状況の検証や運転事故・傷害事故等の原因究明、再発防止策の検討、安全意識向上施策の審議等を定例的に行い、本社と現場が一体となった安全施策の推進に取り組んでいます。
これら安全推進会議での審議決定により、安全マネジメント態勢におけるPDCAサイクルを確実に実践することができました。
② 安全統括管理者等よる現場指導の取り組み
夏季輸送期間前および年末年始輸送期間前に、各職場での安全に対する取り組みや課題等を把握するために、安全統括管理者や安全管理体制における各管理者等が、安全管理規程に基づいた各現場の実態把握を行い、問題点の改善と指導を行うため安全点検を実施しました。また、社員との意見交換会や事故防止のための検討会等へも積極的に参加してきました。
③ 教育、訓練と人材の育成
当社では、輸送の安全確保のため、社員個々の担務に応じた研修講座など、2017年度においても社員の技術継承や人材育成にも積極的に取り組んできました。
また、異常時対応の訓練を毎年地元の消防機関等と合同で主に夜間時間帯で実施しています。2017年度は六日町車両基地構内にて日中、テロを想定した訓練ならびに、負傷者救出訓練や消火器を使用した消火訓練を、地元消防署および警察署と合同で実施しました。
その他各現場においても、実際の設備を使用した異常時訓練や事故防止検討会などを自主的に開催しました。さらに、本線における異常時対応能力の維持向上を図ることを目的に、臨時の訓練列車を運行し、より実践に即した乗務員訓練を実施しました。
【地元の消防署・警察署との合同訓練】(テロ対策訓練・総合防災訓練)
地元の消防署・警察署との合同訓練
【本線上での乗務員実設訓練】(現車走行訓練)
本線上での乗務員実設訓練
【保守用車復旧訓練】
保守用車復旧訓練
【モータカー貫通ブレーキ訓練】
モータカー貫通ブレーキ訓練
【危険予知訓練】
危険予知訓練
【主な教育訓練】
研修機関研修名受講者数
国土交通省関係 車両検修における技術継承研修会 2名
北陸信越鉄道協会 安全対策指導に関する技術研修会 2名
その他 無線従事者(第3級陸上特殊無線技士)養成 2名
運転取扱研修 5名
④ 運転関係社員に対する資質管理
列車等の運転に直接関係する社員や施設及び車両の保守その他これに類する作業を行う社員に対しては、業務を行う為に必要な運転適性、医学適性、知識及び技能を保有するよう社員一人ひとりの適性や知識、技能の確認を行ってきました。特に運転士においては、定例的な訓練や知悉度の確認、シミュレーター訓練等、質の高い資質管理の取り組みを推進してきました。
その結果、安全で安定した輸送の確保に取り組むことができました。
⑤ 安全のための投資と支出
高速運転線区を維持するため、設備や車両の点検及び早期取替え等に力を注ぐと共に最新機器を用いた設備への更新工事を行ってきました。また、安全と快適な乗り心地を確保するため信号設備の更新やレールの交換なども実施しています。2017年度の安全に関わる主な投資は次のとおりです。
【主な安全投資】
◆列車無線車上局デジタル化更新4,070万円
◆線路修繕及びレール交換3,180万円
◆松代・浦川原変電所保護継電器更新2,900万円
◆ATS-P符号処理器更新1,200万円
◆ATS-P簡易型試験器購入470万円
◆TID装置改修150万円
事故等の発生状況とその再発防止措置
(1)鉄道運転事故
2017年度の鉄道運転事故の発生件数はゼロであり、引続き無事故を継続することができました。また、過去5年間の鉄道運転事故や死傷者の発生件数も無く、安全輸送を継続しています。
【国土交通省に報告した鉄道運転事故(過去5年間)】
年度 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度 2017年度
鉄道運転事故件数 0 0 0 0 0
死傷者数 0 0 0 0 0
※鉄道運転事故とは列車衝突事故、列車脱線事故、列車火災事故、踏切障害事故、鉄道人身障害事故、鉄道物損事故をいいます。
(2)災害(地震や暴風雨、豪雪など)
2017年度における列車の総運休本数は240本でした。殆どが自然災害(地震・風・雨等)によるものですが、特に冬季、日本海側海岸平野部において大雪となった影響等により、運休本数としては昨年度より増加しております。今後も引続き輸送障害の軽減に努めてまいります。
(3)輸送障害(30分以上の遅延や運休)
2017年度の輸送障害は、自然災害によるものの発生が6件でした。一方その他の輸送障害については発生しておらず、また係員の取扱い誤り等に起因する障害についても発生していません。
今後とも係員に起因する輸送障害「ゼロ」の目標に向けて、社員教育の充実及び基本作業の徹底を推進してまいります。
【国土交通省に報告した輸送障害】
年度 2013年度 2014年度 2015年度 2016年度 2017年度
自然災害 4 7 0 5 6
その他輸送障害 1 4 3 2 0
(4)インシデント(事故の兆候)
2017年度は国土交通省へのインシデント報告はありませんでした。
(5)事故防止の取組み
① 安全検討会等の開催
社員と協力会社が一体となったトロリー使用責任者講習会等を開催し安全意識の高揚を図りました。また、身近な事例を用いて自らがその原因と対策を考え、皆で議論する事故防止検討会を開催し、経営管理層から社員、協力会社社員が一体となってより高いレベルの安全風土を構築することができました。
② 監視カメラの活用
「鉄道テロ」等に対する警戒体制の強化及び、お客さまに安全で安心をしていただける輸送を確保することを目的として、監視カメラによる録画装置を活用しテロ等の防止に努めています。
③ その他
お客さまの“万が一”に備え、十日町駅にAED(自動体外式除細動器)を設置しております。
お客さま、沿線の皆様とともに
(1)お客さまへの情報提供
① 運行情報の提供
ほくほく線の列車運行状況をリアルタイムでお客さまにお知らせするために2012年度より全駅に運行情報表示装置を設置し、電車の位置情報をご案内しています。この運行情報はホームページに掲載しておりますので、ご自宅のパソコンやスマートフォンでもご覧いただけます。
② ホームページ
ほくほく線の運転状況や沿線の情報のほか、はじめてほくほく線を利用される方でも快適にご利用いただけるよう、ワンマン電車の乗り方・降り方、きっぷの購入方法等を掲載した『ご利用案内』ページを開設しています。
③ 情報提供
北越急行ではホームページによる情報提供のほか、沿線協議会より定例的に広報誌「ほっくほくマガジン」等を発行し、沿線イベント等の情報提供をすることで、鉄道に対する理解を深めていただく広報活動を推進しています。また、車内や十日町駅にて配布している当社社員の手作り情報誌「ほくほくめ~る」を発行するなど、お客さまに寄り添う取り組みを進めて参ります。
④ お客さまからのご意見
お客さまからのご意見やご要望についてはお電話やメールのほか、各駅に備え付けられている「ご意見箱」により頂戴しております。お客さまから頂いたご意見は、経営トップをはじめ、各部署の管理者が目を通し、サービス推進会議等の場で検討し必要な改善を図ると共に、お客さまに迅速に回答するよう努めています。

(2)新たな事業展開について
☆ 佐川急便(株)様との貨客混載事業
CO2削減と新たな収入源確保を目的として、2017年4月より佐川急便(株)様と共同で、貨客混載事業を開始いたしました。
貨客混載輸送につきましては、六日町駅~うらがわら駅間の定期旅客列車に荷物台車(カーゴ)を搭載し、運送をするもので、平日夜間の上下各1本の列車で実施しています。ご乗車のお客さまにはご迷惑をおかけすることがあるかもしれませんが、ご理解ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

(3)各種イベント等
☆ 超低速スノータートル
2015年11月7日に第1弾が実施された団体専用列車『超低速スノータートル』も、2017年度は4回実施されました。回を追うごとに新しい企画でご参加のお客さまにお楽しみいただいておりますが、2017年度は鉄道を支えるバックヤードの仕事を体験していただく企画や、女性の鉄道ファン限定で鉄道関係の施設を見学いただく企画、そして前年の冬に続き、パート2として除雪体験と除雪車のデモンストレーションを見学の後、雪見露天風呂を満喫いただく企画などで、参加されたお客さまからはご好評をいただきました。


(4)お客さまへのお願い
① 踏切事故防止のお願い
踏切での事故を防止するため、踏切に入る前には必ず一旦停止をして列車が来ないことの確認をお願いします。また、踏切内で車が立ち往生しないよう、踏切の先に自分の車が入る余地があるかを確認したうえで進入して下さい。万一立ち往生した場合は、踏切に設置してある「非常ボタン」を躊躇なく押していただくようお願いします。
② 定時運転にご協力のお願い
朝の通勤通学時間帯におきまして十日町駅では、上り・下り列車の一方が遅れて同時に到着した際、お客さまが競合することによりホームや階段が大変混雑しているため、到着に時間差を設けて混雑緩和を図っております。弊社も定時運行に努めてまいりますが、お客さまにおかれましても定時運転確保のため、無人駅でご乗車の際は乗車口付近に立ち止まらず、スムーズな中詰め乗車にご協力をお願いします。
③ 鉄道施設内でのお願い
列車内や駅等においての犯罪行為や不審物を発見した場合は、直ちに運転士や駅係員にお知らせ下さい。またご乗車の際、駆け込み乗車は大変危険ですので皆さまのご協力をお願いします。
また、他のお客さまに迷惑となる行為等についてはご遠慮いただき、乗車マナーを守ってすべてのお客さまが快適にご利用頂けますようご協力をお願いします。
④ 夜間作業へのお願い
ほくほく線では日中時間帯に高速で列車が運行されていることから、線路や架線の取替作業などのメンテナンスは事故防止の観点上、列車運行終了後の深夜時間帯に行っています。そのため沿線の皆さまには工事による騒音や振動等でご迷惑をお掛けする場合もありますが、何卒ご理解とご協力をお願いします。
⑤ 駅構内におけるスマートフォンなど携帯電話の使用について
駅構内におきまして、歩きながらのスマートフォンなど携帯電話のご使用は、お客さま同士の接触やホームからの転落の恐れもあり大変危険です。特にスマートフォンの位置情報を活用したゲームアプリ等をご利用の際は、他のお客さまの通行の妨げにならない場所に移動して、立ち止まってから使用するようお願いします。
以上