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北越急行株式会社
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北越急行 安全報告書(2010)
利用者の皆さまへ
いつも「ほくほく線」をご利用いただき誠にありがとうございます。
また、平素は弊社の事業運営に対して、ご理解とご支援をいただきまして深く感謝を申し上げます。

鉄道事業を営む弊社は、2009年度につきましても「安全で安定した輸送の実現」を最優先課題として取組んできました。その結果、お陰様で大きな事故の発生もなく順調な輸送を確保することができました。
輸送概況につきましては長引く経済不況や新型インフルエンザ、高速道路の休日割引などの影響を受け、特急「はくたか」の利用実績は前年比94%の262万人となりましたが、普通列車においては「天・地・人」の放映、大地の芸術祭、新潟デスティネーションキャンペーン等により前年比106%の103万人と多くのお客さまにご利用いただくことができました。

私たちは、今後も鉄道事業者として各種法令を遵守することはいうまでもなく、輸送の安全確保をより強化するために新しい保安設備の導入や社員教育の充実、車両・設備の保守点検に全力で取組み、引続き安全で安心できる都市間高速輸送及び地域間輸送の確保に努め、皆様に親しまれる交通機関を目指して参りますので、今後ともご支援をよろしくお願いします。

この報告書は、2009年度に当社が行ってきた事故防止の取組みや社内安全体制の実態について、広くご理解いただくために公表するものです。
皆様からの声を輸送の安全に役立てたく、是非、積極的なご意見を頂戴できれば幸いです。
北越急行株式会社
代表取締役社長 大熊 孝夫
当社の安全体制
当社は開業当初から「安全・安定輸送の確保」を経営の最優先課題に据え、「安全な輸送こそが最大の使命」との強い決意のもとに取組んできました。
これまで安全管理体制の強化や内部監査体制の確立、異常気象に起因する輸送障害の軽減、大事故を想定したリスク管理体制の構築、ヒヤリハットを共有化するためのシステムの活用等、様々な安全管理の強化に向けて努力をしてきました。
その結果、2009年度は豪雪に見舞われるなど自然災害による輸送混乱が発生しましたが、列車脱線事故や列車衝突事故等の発生や「お客さまの死傷事故」の発生はありませんでした。
なお、当社の安全管理体制については、次の表に示すとおりです。

【安全管理体制組織図】
安全管理体制組織図
安全統括管理者輸送の安全の確保に関する業務を統括する
運転管理者安全統括管理者の指揮の下、運転に関する事項を統括する
施設管理者安全統括管理者の指揮の下、鉄道施設に関する事項を統括する
車両管理者安全統括管理者の指揮の下、車両に関する事項を統括する
財務・要員管理者設備投資、財務及び要員に関する事項を統括する
乗務員指導管理者運転管理者の指揮の下、運転士の資質の保持に関する事項を管理する
安全を確保する取組み
(1)基本方針と安全目標
当社の安全に関する基本方針は、会社の指針にも挙げている「基本動作を励行し、安全安定輸送の確保を図る」ことを最優先事項として定め、開業以来取組んできました。
この基本方針を達成するため、2009年度の安全計画では「人命最優先( お客さまと社員の死傷事故ゼロに向けた取組みの実践 )」という具体的な目標を掲げて取組んできました。
また、2007年に制定した「社員行動規範」に則り、法令遵守と安全確保という大きな目標に向って全社員で実践してきました。
【安全綱領】
(1) 安全の確保は、輸送の生命である。
(2) 規程の遵守は、安全の基礎である。
(3) 執務の厳正は、安全の要件である。
【社員行動規範】
(1)法令等の遵守と企業倫理に則った適切な行動
(2)お客さまに信頼される鉄道
(3)社会への適切な情報提供
(4)地域社会への貢献
(5)個人情報等の厳正な管理
(6)公正公平(適正)な取引
(7)反社会的勢力に対する毅然とした姿勢・絶縁
(8)会社財産の厳正な管理
(9)働きやすい職場づくり

(2)輸送の安全確保のための具体的な取組み
① 安全確保のしくみ
社内には、経営トップから各現業機関の区所長までをメンバーとする安全推進会議を設置しており、安全計画で策定した実行目標の達成状況の検証や運転事故・傷害事故等の原因究明、再発防止策の検討、安全意識向上施策の審議等を定例的に行い、本社と現場が一体となって安全対策を進めてきました。
これらの施策により、安全マネジメント態勢の確実なPDCA スパイラルの実行を進めることができました。
② トップによる現場指導の取組み
夏季安全総点検や年末年始安全総点検の時期に、経営トップと取締役等が各現業職場を巡回し、社員との意見交換会や事故防止のための検討会等に参加してきました。  また、安全管理規程に基づき各現業機関の実態の把握と問題点の指摘及び改善を進めるための指導を行ってきました。
③ 内部監査体制強化の取組み
運輸安全マネジメント態勢の更なる強化を図るため、安全の確保に関する内部監査員研修に2名が参加し、管理部門や現業部門に対する内部監査をより効率的、実践的に行うための体制強化に取組んできました。
④ 教育、訓練と人材の育成
当社では、輸送の安全確保のため、2009年度においても社員の技術継承や人材育成に積極的に取組んできました。
特に、各部門、各職場において階層別研修や職能研修、サービス研修等の実施、部外講師による技術専門研修、労働安全衛生法等で定められている技能講習その他の資格取得に積極的に取組む等、社員の約半数に当たる50名に教育を行ってきました。
また、異常時対応の訓練としてほくほく線内の「大池いこいの森駅構内の高架橋上」で地震発生による大規模災害を想定して地元の消防機関等と合同で救助訓練を行う等、関係機関と異常時の連携強化を確認してきました。
その他にも、実際の設備や臨時の訓練列車を運行し、本線上での事故復旧訓練や故障対応訓練等の異常時対応訓練を行い、技術力保持やチーム力の強化にも力を入れ、実践的な訓練についても積極的に取組んできました。
【地元の消防機関等との合同訓練】
地元の消防機関等との合同訓練
【本線を活用した乗務員実設訓練】
本線を活用した乗務員実設訓練
【社員教育訓練】
社員教育訓練
【協力会社社員に対する講習会】
協力会社社員に対する講習会
【主な教育訓練】
主な教育訓練
⑤ 運転関係社員に対する資質管理
列車等の運転に直接関係する社員や施設及び車両の保守その他これに類する作業を行う社員に対しては、業務を行う為に必要な医学適性及び知識及び技能を保有するよう社員一人ひとりの適性や知識、技能の確認を行なってきました。特に運転士においては、定例的な訓練や知悉度の確認、シミュレーター訓練等、質の高い資質管理の取組みを推進してきました。
その結果、社員の取扱誤りに起因する鉄道運転事故の発生も極めて少なく、安定した輸送の確保に取組むことができました。
⑥ 運転士養成
当社の運転士養成は、駅業務や車両整備の業務に従事した後、社内及びJR東日本の教育機関を活用して約6カ月間の運転士教育を実施し、国家資格を取得した後に運転士業務に就かせております。2009年度には2名の運転士を養成しました。
【運転士国家試験】
運転士国家試験
⑦ 安全のための投資と支出
在来線での国内最速運転線区を維持するため、設備や車両の早期点検及び早期取替え等に力を注ぐと共に最新機器を用いた設備への更新工事を行ってきました。
2009年度の主な安全投資は次のとおりです。
【主な安全投資】
■運行情報案内システム改修500万円
■無人駅用放送設備改修 600万円
■風向風速計の導入200万円
■緊急地震速報システム改良900万円
■落橋防止対策500万円
■電力装置、変電所改良300万円
■ATS-P常備品400万円
■レール削正2,200万円
■トロリー線張替1,600万円
事故等の発生状況とその再発防止措置
(1)鉄道運転事故
2009年度の鉄道運転事故の発生件数はゼロであり、引続き無事故を継続することができました。また、過去5年間の鉄道運転事故や死傷者の発生件数も無く、安全輸送を継続しています。
【国土交通省に報告した鉄道運転事故(過去5年間)】
年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度
鉄道運転事故件数 0 0 0 0 0
死傷者数 0 0 0 0 0
※ 鉄道運転事故とは列車衝突事故、列車脱線事故、列車火災事故、踏切障害事故、鉄道人身事故、鉄道物損事故をいいます。
(2)災害(地震や暴風雨、豪雪など)
2009年度における自然災害(地震・風・雨等)による輸送障害については、数年ぶりの豪雪により列車の運休等が発生しました。
今後も引続き、自然災害に対する輸送障害を軽減させるための具体的な対策を推進してまいります。
(3)輸送障害(30分以上の遅延や運休)
2009年度の輸送障害は自然災害によるものを除き2件発生しました。このうち1件は深夜の保守時間帯に発生した保守用車の取扱い誤りに関するものでした。この事象は直接、営業列車に危険を及ぼすものではありませんでしたが、転てつ器の開通方向をよく確認しないで運転をしたため、転てつ器の一部を破損したものであり、再教育の実施と新しい手順の策定等の再発防止策を講じました。
もう1件は設備故障に伴う軌道短絡事故で故障個所の点検に時間を要したために発生した輸送障害でした。
今後とも係員に起因する輸送障害「ゼロ」の目標に向けて社員教育の充実及び基本作業の徹底を推進してまいります。
【国土交通省に報告した輸送障害(過去5年間 )】
年度 2005年度 2006年度 2007年度 2008年度 2009年度
自然災害 9 15 12 8 14
その他輸送障害 3 0 0 2 2
(4)インシデント(事故の兆候)
2009年度は国土交通省へのインシデント報告はありませんでした。
(5)行政指導等
2009年度は国土交通省からの行政指導はありませんでした。
(6)事故防止の取組み
① 安全検討会等の開催
2009年度には、安全に対する感性を充実するためヒューマンエラーの専門家である外部講師をお招きして「失敗から学ぶ事故防止」を題材とした安全講演会を開催しました。これにより、経営管理層から社員、協力会社社員が一体となって更なる安全風土の構築を図ることができました。
【安全講演会の模様】
安全講演会の模様
② 早期地震通報システム
2008年の秋に早期地震通報システムを導入し、列車運行の安全確保を図ってきました。2009年度はこの装置からの情報タイムラグを軽減させ早期に列車を停止できるよう自動的に列車無線に停止情報を伝達させる装置を整備しました。
また、これに合わせて指令室無線操作卓の全面改良を行い、より確実な情報伝達ができるように改善を図りました。
③ 強風対策
強風に対する運転事故防止を強化するために、2006年から鉄道総合技術研究所と共同で「くびき~犀潟」駅間で具体的な風向、風速データの研究を行ってきました。犀潟~くびき駅間は当社で最も風の影響を受けやすい区間であり、輸送障害に大きな影響を与えていることから、今年度はこの区間に新たに風向風速計を設置し引き続き強風対策の調査研究を進めています。
④ 監視カメラの活用
「鉄道テロ」等に対する警戒体制の強化及びお客さまに安全で安心した輸送を確保することを目的として、監視カメラの増備や録画装置の機能強化を進めてきました。
⑤ その他
2007年に十日町駅にAED(自動体外式除細動器)を配置しましたが、2009年度においても点検整備と新入社員に対する救急救命講習を行い、お客さまの不慮の災害に対処できるよう努めています。
お客さま、沿線の皆様とともに
(1)お客さまへの情報提供
① 運行情報の提供
ほくほく線の列車運行状況をリアルタイムでお客さまにお知らせするために全駅に運行情報表示装置を設置しご案内しています。
また、大幅に列車ダイヤが乱れた時は、インターネットや携帯電話等のホームページでもご案内しています。
② 情報提供
北越急行では、定例的に広報誌「ほっくんかわら版」等を作成し、臨時列車や沿線イベント等の情報提供に努め、鉄道に対する理解を深めていただく広報活動を推進しています。
③ お客さまからのご意見
お客さまからのご意見やご要望については、各駅に備え付けられている「ご意見箱」や電話、メールなど様々な手段で頂いております。
お客さまから頂いたご意見は、経営トップをはじめ、社員指導やサービス推進会議等の場で検討し必要な改善を図ると共にお客さまに、迅速に回答するよう努めています。
(2)お客さまへのお願い
① 踏切事故防止のお願い
踏切での事故を防止するため、踏切に入る前には、必ず一旦停止をして列車が進入しないことの確認をお願いします。また、踏切内で車が立ち往生しないよう、踏切の先に自分の車が入るスペースがあるか確認をしたうえで進入して下さい。万一立ち往生した場合は踏切に設置してある「非常ボタン」を遠慮なく押していただくようお願いします。
踏切事故防止のお願い
② 鉄道施設内でのお願い
列車内や駅等で犯罪行為や不審物を発見した場合は、直ちに運転士や駅係員にお知らせ下さい。また、乗車の際の駆け込み乗車は大変危険ですので皆様のご協力をお願いします。
③ 夜間作業へのお願い
ほくほく線では日中時間帯に多くの列車が運行されていることから、事故防止のため、深夜時間帯に線路や架線の交換等の夜間作業を行っています。そのため、沿線の皆さまには工事による騒音や振動等でご迷惑をお掛けする場合もありますが、何卒ご理解とご協力をお願いいたします。
以上